170人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
水遊び後の余波
ルーファス殿下のプレゼントを身に着け、湖の畔で少し遊ぶことになった。
レオノーラは背中の傷跡を隠す為に、ビキニの上からシャツを羽織っていた。シャツのボタンを全て留めると水着が上下とも隠れて良いなと思ったが、ロンに頼むから辞めて、まだ水着が見えた方がマシと言われ、阻止された。何とも納得いかないが、従った。
ちなみにマオは猫のまま。水着姿を人前に晒すなど以ての外だそうだ。ではレオノーラとエペルはどうなると言いたいが、ロンの執着心は今に始まったことでは無いので、レオノーラは敢えて追求しなかった。
エペルは以外にも羽織ものは無しの状態で楽しんでいる。女性のレオノーラが一緒で、見知らぬ者がいないのが良いらしい。
水に浸かったりして楽しんだが、身体が冷えた時点で終了した。
まぁ、これで義理は果たした。レオノーラはホッとした。
水着から普段着に着替えた時点で、ロンが2人に丸く円盤状の板を渡してきた。
「それ、写し身の魔術具」
手のひらサイズのそれは白みがかっていた。そして円盤状の表面には、今日の水着姿の二人が写っていた。
「…こんな事も出来るんですね…魔術…便利ですね〜」
レオノーラは関心しながらロンに言った。
「…まぁ、こんな事今後する事も無いかもしれないしな。記念に。」
ロンは言った。
レオノーラは男性として生きている者だ。水着など、今後は着ることは無いだろう。
ロンの心遣いに、有難くレオノーラはそれを受け取った。
◇◇◇◇◇◇◇
後日、ティグラートの元にプレゼントと称して白みがかった円盤状の魔術具が届けられた。
ティグラートへ贈られた写し身の魔術具は特別仕様で、レオノーラが中心に写り、声まで聴こえた。
『…頼む、シャツのボタン…全部停めるのは止めて…』
ロンの声がはいっている。そしてそこに写し出されたのはシャツのみを着ているように見えるレオノーラ。シャツの裾からは細く白い足が出ている。
『そう…なんですか?』
レオノーラが応え、ボタンが外されていく。
すると濃い蒼のビキニが見え始める。羽織るだけにしたレオノーラが写ってそれは終わった。
どういう事か!?と伝文を送ったティグラートに、ロンは返信した。
『仕事させすぎの奴に嫌がらせだ。文句は贈り主のルーファス殿下に言え』と。
最初のコメントを投稿しよう!