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ガチャっと玄関の鍵が開く音がして、気がついた。あれ、ぼく寝てたみたい。
お父さんが部屋に入って来て、びっくりした顔でぼくに駆け寄ってきた。
「智也、どうしたこんなところで。起きちゃったのか」
お父さんはぼくの背中や腕をさすってから抱き上げ、ぎゅっとしてくれた。
「うん……ヘッタくんにおにぎりをあげてたんだ」
ぼくはまだ眠くて、目を擦って、ぼくを心配しているお父さんを安心させるために、さっきの出来事を教えてあげた。
「……そうだったのか。智也もお腹空いただろう? パン食べようか? ソーセージもあるぞ。チーズがいいか?」
「うーん……」
お父さんに聞かれて考えたけど、わからなかった。
「わかんない。お腹すいてないかな。まだ眠い……」
ぼくが目を擦っていると、お父さんがまたぎゅうっとしてくれた。
「そうか……わかった、あとで食べような。よしよし、お布団に行こう」
お父さんがぼくの頭を撫でてくれる。大きくてあったかい手。ガチっとしたお父さんの肩にほっぺたを乗っけて目を閉じてたら、おばあちゃんの寝起きの声がした。
「あら洋介おかえり、智ちゃんどした? 私、智ちゃんが起きたなんて全然気づかんやったわ、ごめんなぁ」
「ええよオカン、まだ寝とっても。オカンも疲れとるやろ」
おばあちゃんの骨ばったあったかい手が、ぼくの背中を何度もさすってくれた。
ひんやりとしたお布団に乗せられて、お父さんが一緒にお布団の中に入って、それがとってもあったかくて、ぼくはその気持ちよさに吸い込まれていくように眠りの世界に入っていった。
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