7人が本棚に入れています
本棚に追加
巫女と神様
気づかなかった。
気づけなかった。
それでもずっと、会いたかった。
前世で愛したあなたに。
私が仕えていた愛しい神様に。
会えるものなら会いたいと、何度も願った。
あたたかな手のぬくもり。
伝わってくる不思議なこの感覚は……前世の私が記憶している愛しい神様と同じだ。
異世界からの干渉、侵略者。
滅ぼされたかつての故郷。
あなたは、神様としての力を失ってしまうほどに無茶をしてまで、私たちの魂が世界の崩壊と共に消滅してしまわないように、あの世界を生きた私たちが、こうして異世界へと転生できるように、最後の力で導き、守ってくださったのね。
お慕いしておりました。
愚かにも、ただの巫女にすぎない人間の身でありながら、神であるあなた様へと、身分違いな想いを抱いておりましたの。
けれど、今世ならば。
あの頃の身分も立場も関係ない、この異世界でならば……期待してもいいのでしょうか?
私ではない前世の私のその想いに、今世の私の感情も自覚してしまう。
最初のコメントを投稿しよう!