巫女と神様

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巫女と神様

 気づかなかった。  気づけなかった。  それでもずっと、会いたかった。  前世で愛したあなたに。  私が仕えていた愛しい神様に。  会えるものなら会いたいと、何度も願った。  あたたかな手のぬくもり。  伝わってくる不思議なこの感覚は……前世の私が記憶している愛しい神様と同じだ。  異世界からの干渉、侵略者。  滅ぼされたかつての故郷。  あなたは、神様としての力を失ってしまうほどに無茶をしてまで、私たちの魂が世界の崩壊と共に消滅してしまわないように、あの世界を生きた私たちが、こうして異世界へと転生できるように、最後の力で導き、守ってくださったのね。  お慕いしておりました。  愚かにも、ただの巫女にすぎない人間の身でありながら、神であるあなた様へと、身分違いな想いを抱いておりましたの。  けれど、今世ならば。  あの頃の身分も立場も関係ない、この異世界でならば……期待してもいいのでしょうか?  私ではない前世の私のその想いに、今世の私の感情も自覚してしまう。
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