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「デートがしたかったなんて言うと、相手を勘違いさせちゃうわよ?」
平静を装って紡ぎだした言葉。
声はたぶん、震えていなかったとは思うけれど。
あなたは、私と手を繋いでいないほうの手で口許を隠すと、真っ赤になっているその顔で私から視線を外し、「勘違いじゃなくて……」そう呟いて、口許を隠していた手をおろし、私へと視線を戻すと、満面の笑みを浮かべて私を見つめていた。
「キミが好きです。恋人に立候補してもいいですか?」
「……は、い。……私でよければ、喜んで」
そう答えたのは、無意識に近かった。
混乱して、でもドキドキしていて。
「神様も、あなた様のことも、お慕いしておりました」
私ではない私が紡いでしまっていた言葉に気づいて思考を引き戻され、とんでもないことを口走ってしまったのではないかと、つい顔色をうかがってしまう。
あなたは……一瞬驚いたような表情を浮かべたけれど、すぐにそれは、甘くとろけるような微笑みに変わった。
いや、ちょっと待って?
さっきまで、そんな色気はカケラも無かったわよね?
神様? 神様の色気?
いやいやいやいや、今世は人間だし、神様の色気って私、混乱しすぎよ。
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