プロローグ

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プロローグ

ティアラーナ 肉親からの愛情も慈しみも与えられなかった君に、私は何処までも優しく、真綿のような愛情で君を包んであげたい。そう望んだ。 優しく愛情を与えることで、君が零れるような美しい笑顔を取り戻せる。そう信じていた。君が、私に見せてくれた笑顔が次第にそうなると信じていたんだ。 その真綿が、君を苦しめるとは考えなかった。 腕に抱いた彼女は、皮膚が紫の斑な色に変化していく。 呼吸が浅く、もう時期彼女の命の灯火は消えていく。 何故。 何故そのような事態になったのか。回らない頭を必死で動かし、今出来る最善策を考えなければ。 なのに、絶望が思考を邪魔する。 何故、彼女は命を絶つ事で自分を捨てる選択を選んだのか。 許せない。 許さない。 彼女がいない世界で自分が生きる事とも。 自分が傍にいない事で、彼女が倖せを得る事も。例えそれが死ぬ事で得る倖せだとしても。 その狂気にも似た激情は、一瞬にして彼の絶望を焼き尽くした。 利己的な感情のままに、彼女の意志など聞き入れることも無く。 自分が彼女のいる奈落に堕ちる事を選んだ。
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