穢れた聖女

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穢れた聖女

夜が明け、空は闇と光が混じり合う。 朝焼けの、朱と紫が混じった曙色が聖女の神殿に光を満たし始める。 そこは王城内に造られた、聖女のみが入れる神殿。 聖女を保護する為に、領土内にある大神殿とは別に、国王は城の敷地内に神殿を造らせた。 その神殿は広いものではなく、聖女が祈りを捧げる為に必要な禊の場、飲食をする部屋、寝室、世界の創世神を祀る為の祭壇がある部屋があった。 聖女が祈る時、祭壇の部屋に入るのは国王のみで、護衛は入口の外にて警備する。 聖女は、朝焼けと共に創世神の像の前に跪き、祈りを捧げる。 白き衣を身に纏い、ベールに覆われたその姿は暁色に染め上げられる。 創世神に祈るは、国、国民の安寧。 そう祈らなければいけない。国、国民を常に思う。それが聖女の正しい姿なのだろう。 しかし7の歳、自分が聖女だと孤児院に迎えに来た彼の方。 闇色の髪に、くすんだ灰色の瞳を持つ自分に手を差し伸べた黄金の髪、暁色の瞳。 彼の方に心の全てを奪われた。 あぁ。世界は彼の方の為にあれば良い。 その為だけに。 今日も祈りを捧げる。 罪深き闇色の髪は、白いベールで覆い隠す。 罪は全て私に。 世界の輝きを持つものは、全て彼の方に。 「神は、それほどまでに尊きものか?」 小さな神殿に、耳障りの良い少し低めの声が響く。 祈りを捧げていた聖女リリアは振り返り、声の主を見る。 いつの間にか傍らに立った我が王を見上げた。 「シュバルツ様。…またおひとりでお出でになられたのでしょうか?」 「神に祈って、何か願いが叶ったか?」 リリアの言葉は聞き入れず、シュバルツは質問を重ねる。 「…国の…陛下の安寧なる日々…」 リリアの言葉に、シュバルツはクッと声を出し笑う。 「…安寧…」 おもむろに、シュバルツはリリアの二の腕を掴み引っ張り上げた。いきなり立たされたリリアはバランスを崩しふらりとよろけたが、シュバルツはそのままリリアを抱き留めた。 「心穏やかに日々を過ごしていると?」 リリアを見下ろすシュバルツの瞳は、穏やかとは言い難い色を帯びている。 「神などいない」 低く獰猛な声が響く。 そして華奢なリリアの身体は、創世神の像に押さえつけられる。力任せに押さえつけられ、掴まれた二の腕と打ちつけられた背中に痛みが走った。 「…っ…!」 「お前は分かっていたはずだ。俺が望んでいる事を…」 シュバルツの大きな手で、リリアは強制的に顔を上げられる。 「お前が神に囚われているのであれば…俺は魔王になれば良いのか?」 僅かな動揺も見逃すまいと、シュバルツはリリアを見つめる。 「お前を連れてきてから、…十分待った。これ以上、もう待つ事はしない。」 そう言うと、シュバルツはリリアの小さな唇に自分の唇を寄せた。 「いけません!シュバルツ様!」 押さえつけられていながらも、リリアは身じろいで抵抗する。しかしか弱き聖女の抵抗など直ぐにねじ伏せられ、荒々しく口付けられる。 僅かに開いた口腔内に、深くシュバルツの舌がねじ込まれる。強引に舌を絡ませ、吸い、甘く噛む。 繰り返しされる行為に、次第に唇や舌が痺れてくる。 僅かに唇が離れた間に、リリアは必死に息を継ぎ、すぐに絡んでくるシュバルツの舌に翻弄された。 拒絶したはずなのに、考えることすら出来なくなり、リリアは弱々しくシュバルツの胸に手をやり、無意識に服を握りしめた。 激しい口付けは、リリアの中の熱を引きずり出す。 シュバルツの唾液が、まるで甘露のようにリリアを満たす。 リリアの顔を上げていた大きな手は、白い衣の上から胸の膨らみにたどり着く。 口付けを繰り返しされ、薄い衣の上からゆっくりと揉みしだかられ、息絶えだえになっていく。 両手とも胸の膨らみを包み、胸の頂きにたどり着く。 「あっ!…シュバルツ様!…ダメ…」 リリアの拒絶とも言えない弱弱しい声は、シュバルツの動きを止める手段にはなり得ない。 「…そのまま…お前の淫猥な姿を見せてみろ」 リリアにとっての、絶対なる王が命じる。 シュバルツの指の動きに合わせて、リリアは声を上げ、熱を帯びた息を吐く。 衣の上から、シュバルツの舌が胸の頂きを舐める。 「…神の…御前です…」 リリアは嘯く。 リリアにとっての神は、創世神ではない。 神の姿は、光を纏う黄金の髪に、暁色の瞳を持つ者。 穢れの闇色を纏う者に触れるなど、最早禁忌だ。 創世神を祀り、祈りを捧げる為にのみ連れてこられた。 だが。祈りも、想いも、この身も。 我が王の為に存在した。 真摯に創世神に祈れない。罪深き穢れを現すならば、自分の姿になるのだろう。 「では、神の前で穢そう。」 創世神の像に押さえつけられたリリアの下肢に、シュバルツの手が伸び衣が捲られる。 脚が剥き出しにされ、下着が剥ぎ取られる。肩から衣は下ろされ、色白の柔肌が晒される。そしてシュバルツの手が、柔らかな素肌を上下に往復し撫で付ける。 そしてリリアの身体を反転させ、片脚が大きく持ち上げられた。 グラリと倒れそうになったリリアは、創世神の胴像に手を着く。 気付けば創世神の像の、身に着けた衣に跨ぐ姿勢になっている。石像に素肌が触れ、冷たさが直に伝わってくる。 背後からシュバルツはリリアを抱き、捲れた衣の奥の、更なる秘部に手を伸ばした。 神の胴像を跨ぎ、自分が半生をかけ崇める王に愛撫される。なんと淫猥な事か。 背後からシュバルツの唇がリリアの耳朶を食む。舌を差し込まれ、水音がリリアを追い詰める。 シュバルツは抱き留めるように胸と秘部に触れる。大きな手や長い指に翻弄され、止めることの出来ない嬌声が室内に響く。 「自分の痴態に気付いているか?」 耳元で囁く声は小さく嗤った。 気付けば、リリアは胸を突き出すように背中を反り、シュバルツは触れられていない胸が創世神の胴像に当たっている。 そして時間をかけ、秘部の奥の花芯や蜜壷に愛撫をされて、滴るように流れ出た蜜は胴像を濡らし穢していた。 「神を穢す気分はどうだ?」 耳元で囁かれる。 吐息の熱ささえ昂らせる要因となる。 「…駄目…あっ、…そこっ…止めっ…」 「お気に召したようだな…俺の聖女」 シュバルツの長い指が、駄目といった、蜜壷の弱い箇所を繰り返し何度も擦りあげる。そして同時に最も弱い花芯も擦られ、リリアは一気に追い上げられる。 身体がビクビクと幾度となく細かく揺れ、まるで導くように大きく脚が開かれる。 「…そのまま…堕ちてこい…」 「…あぁぁっ!!」 欲情の証の蜜は吹き出し、更に石像を濡らす。 ガクガクと身体が揺れ、リリアは創世神にしがみつく。 その姿を見たシュバルツは「…チッ」と下を鳴らすとリリアを自分に引き寄せる。 「…神に縋り付くその姿に、悋気を起こすのがおかしいのか…」 シュバルツは眉根を寄せ、怒りのままリリアの唇を塞ぐ。 そして己の昂りをリリアに突き立てた。 「ああぁっ!!」 労りは欠けらも無い。怒りと欲望で犯された秘部から、赤き血が流れ落ちた。それでもシュバルツの動きは止まらない。 「…せめて俺を憎め…!…俺への憎しみで、身が焼き焦がれる程俺を考えれば良い…」 激しい動きに、リリアは自分を犯す神にしがみつく。 彼がもたらす痛みは、彼を穢す自分の罪のように思えた。なのに、次第に快楽が身体を蝕み始めた。 高潔な彼を堕とすのは、罪深き自分。 なのに彼から悦びを与えられ、戸惑いを隠せない。 「…罪深き聖女…。穢す事で俺の元に堕ちてくるなら、悪魔にでも何でもなろう…」 激しく打ち付ける情欲は、更なる昂りをリリアの中で現し、遂に最奥に弾けた。 シュバルツはリリアをその胸に抱きしめた。 「…お前が俺の前に現れたその時から…愛しているんだ…」 こめかみに唇を寄せ、口付けながらシュバルツは言った。 そのシュバルツに向き直り、彼の頬を両手で包みリリアは言った。 「…どうか…地獄の深淵へ…お連れ下さい…。光り輝く黄金の我が神よ…。」 世界は聖女を失った。
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