見えない友達

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見えない友達

僕にはさちっちゃい頃、見えない友達がいたんだ。 見えないのは存在しないからじゃなくて、透明人間だったからだよ。 僕だけ特別で姿が見えたんだ。 そうだなぁ…名前は…緑色が好きだったから緑くんとでもしようかな。 この話は僕が6歳の時の話。夢かもしれないし現実かもしれない話。 僕はもともと人と関わるのが苦手な子だったんだ。 だから友達もほとんど居なかった。友達って言ってた子達だって正直友達じゃなかった。 でも僕には唯一どんなことでも話せる友達がいた、それが緑くんだ。 僕と変わらないくらいの身長で、黒が強めの焦茶色の髪色で、とても綺麗な目をしていていた。 いつも白いシャツの上にフードのついた緑色の上着を羽織っていた。どんな時でも長袖長ズボンだったよ。不思議だね。 彼は僕以外には見えなくて昔母親に 「この子僕の友達!」 って言った時には病院に連れていかれそうになったよ。 気でも狂ったのかと思われてね。 それ以来僕は誰にも緑くんのことを言わなかった。 それは緑くんと僕の約束にもなった。 「これは僕らだけの秘密!」 僕がそういえば緑くんは笑顔で頷いてくれた。 毎日楽しかったよ。 人と話すのが苦手だけど、緑くんは違う、いつもニコニコ笑って僕の話を聞いてくれてた。 でもある日のことだったんだ。 先生たちはずっと一人で遊んでる僕をどうにか他の子達とも遊ばせたかったんだろうけど、僕を無理やり大人数での遊びに連れて行ったり他の子と話させたりし始めたんだ。 そのせいで緑くんのところへはしばらくいけなかったんだ。 ある日やっと先生から解放された僕は緑くんのところへ行ったんだ。 いつも通り緑くんはそこにいた。 僕は緑くんに謝罪と来れなかった理由を説明した。 緑くんは笑って許してくれたよ。本当優しい子だと思った。 それからは前みたいに緑くんと遊んだ。先生は僕のこと諦めたみたいだった。 ある日家に帰ったらさ、お母さんに聞かれたんだ 「いつも誰と遊んでいるの?」 でも僕は説明できなかった。 周りの人に見えない友達なんて言えやしないだろう? それに僕は緑くんのこと何にも知らないんだよ。 だからその時は母親に 「いつも幼稚園の草むらにいるダンゴムシさんと遊んでるんだ!」 そう言った、母親は安心したように「そう、それならよかった」とだけ言った。 僕は次の日緑くんに会った時に色々聞こう!って思ってたんだ。 でも…次の日から緑くんに会えなくなった。 いつもの場所に行っても緑くんはいない。 いろんなところを探しても居ないんだ。 悲しかった、でも緑くんにも何か理由があるんだって思ってその日は終わった。 でもその次の日もそのまた次の日も、緑くんはいない。 そうして緑くんが居なくなって三ヶ月が過ぎた。 僕はもう卒園の時期だった。もうこのまま翠くんには会えないんだと思うと悲しかった。 そして卒園式の日。最後に一度だけ緑くんと遊んだ場所に行こうと思った。 そしたらさ、いるんだ、そこに、緑くんが。 僕は思わず駆け寄った、話しかけたらいつもみたいにニコリと笑ってくれた。 それで緑くんに聞けなかったことを聞こうと思ったんだ 「ねぇ!緑くんのお家はどこなの?」 そう聞いたら緑くんは、首を横に振った。 「?」 そして静かに茂みの中を指差した。 「緑くん?」 そして僕に手招きしたかと思えば茂みの中に入って行った。 「待って!」 僕は急いでついて行った。 緑くんはズンズン奥へ進んでいく。 しばらく歩いたところで緑くんは止まった。 そしてこちらを振り向きこう言った。 「 た す け て 」 僕はその瞬間恐怖に襲われた。茂みを走って出た。そしてすぐに大人の人をよんでまた茂みの中へはいった。 その後茂みの周りにはたくさんの大人が集まった。 本当思い出すだけで怖かったさ。もう2度とあんな経験はしたくない。 でも緑くんは緑くんだけは僕の友達だったよ。 それで話は終わり。でも僕が何を見たかなぜたくさんの大人が集まったかみんな知りたいだろ?ちゃんと説明するよ。 僕が茂みの奥で見たものそれは…緑くんの死体だよ。 緑くんは死んでた。最初に存在するものだって言っただろ? でも一応存在してるものだったんだよ。 緑くんの本当の名前は、(リョウ)くんって名前だった。 綾くんは父親に殺されたんだって。ニュースになってた。 たくさん集まった大人たち…もうわかるだろ?警察さ。 まぁこれで全て話し終わったんだけれど。最後に緑くんが僕に言ったこともう一つあったんだ。 「 あ り が と し ん ゆ う 」
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