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海の聲
僕は昔、ちょっと変な少年だった、海の声が聞こえるって言ってたんだ
何を言ってんのか僕もよくわかんないよ。
まぁ、簡単に言えば僕の友達の中には海も入っていたんだろうね。
その海はとても綺麗で波も穏やか、その海が荒れるなんてほとんどないんだ。
ホント綺麗だった、でも今見るとすんごく恐ろしく見えるんだ。不思議だね。
その時の僕は…小学生だったかなぁ…?1、2年生ぐらい。
家のすぐ近くの海によく友達と遊びに行っていたんだ。
でもある日一人で浜辺を探検していたんだ。
そしたら不思議な空洞を見つけた。
入口は本当に狭くて、その当時の僕がなんとか通れるくらいだった。
その空洞の中には小さな水たまりみたいになってる水場があって、とても綺麗だった。
でもそこに入って水を眺めてた時さ。
声が聞こえたんだ。どこからだと思う?水の中さ。
なんて言ってたっけなぁ…そう…
「 君 は 誰 ? 」
だっけな?幼い僕は自己紹介をしたんだ。そしたら
「 僕 は 雋エ 譁ケ 蝣 輔Κ 」
って言ったんだ、名前は聞き取れなかった。
しょうがないし名前はなぁ…紺ちゃんとでも言おうかな…?その空間はとても綺麗な紺色だったからね。
紺ちゃんと僕はそれからよく話をするようになった。
だから僕は他の子達とも遊ばなくなった。
そんな僕を見て親は僕を心配した。まぁそりゃそうだよね、自分の子供がいきなり誰とも遊ばなくなるんだから。
紺ちゃんは面白い子だった。僕の知らない話をしてくれる。
昔いた海賊の話とか。海を泳いでいた人の面白い話とか。
楽しかった。
でもある日僕は引っ越すことになったんだよ。
だから最後に紺ちゃんにお別れを言いたかった。
だからあの洞窟へ行った。
そして声を出して紺ちゃんに話しかけた。そしたらいつも通り返事してくれたよ。
そして僕がもうここに来れないってことを伝えた時だった。
「…ダメ…ダメだよ!ダメ!」
紺ちゃんはいつも出したことないくらいの声でそう叫んだ。
怖かったよ。続けて紺ちゃんはこう言ったんだよ
「君は僕と一緒にいるんだ!」
その瞬間足元にあった水が激しく動き出した。
流石にやばいと思って洞窟から走って出たさ。
まぁ、この話はここでおしまいだ、でもみんなこれじゃぁ納得いかないだろ?
本当は続きがあるんだ。
僕が中学2年の時だ、たまたまその海にいく機会があったんだ。
だから僕は洞窟へ向かった。
でも……
そこに洞窟はなかったんだ
悲しかったよ、俺の大好きな友達だったから。
おれは一人呟いた
「紺ちゃん…」
きっと紺ちゃんがいたら返事してくれたんだろうな。
もう戻れないから後悔しても遅いけどな。
これでほんとの終わりさ、これは本当は夢だったんじゃないかって今でも願ってるさ
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