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「ネコ!ネコってば!あたしの話し、聞いてる?聞いてないだろ!」 「描さん、大丈夫ですか?何処か具合でも悪いんじゃないです?」 浜辺のいつもの場所で 二人の恋人?奥さん?が、左右から覗き込んできていた 秋ちゃんは猫パンチで、冴香さんは優しい言葉で、物思いに耽っていた僕を現実世界に呼び戻してくれた あの日交わした、叶うことのない恋人との約束 病気が治ったら、京都競馬場の桜並木を見に行く約束 みっひーとの約束が果たせなかった以上、他の誰とも桜並木を見に行っていない 造幣局の桜の通り抜けさえも そうそう、秋ちゃんから「ここでは花見が出来ないじゃねーか!」そうクレームを受けたんでしたね 花見の代わりに花火が出来るから良いじゃないですかー 「駄洒落か?駄洒落で誤魔化すつもりか?このこのこの」 秋ちゃんの猫パンチの数が増えてきたので僕も切り札を… そこまで仰るのなら秋ちゃん、桜吹雪の後片付け、手伝ってくれるんですよね? これは秋ちゃんには強烈に効く 何と言っても片付けが何よりも苦手で嫌いな人だからだ ん十年の付き合いはダテではないのだ 「そ、そっか!それがあるんなら、花火と椰子の木で我慢してあげなくもないわ!」 冴香さんは僕の左手を掴んで、必死に笑いを堪えている …秋ちゃん…余りにも変わり身が早すぎでしょ… まだ夏には早いけれど 本土よりは強い陽射しの中、カフェからハルが走ってくるのが見えた どうやら火事にすることなく、客人達が昼食の焼きそばを作ってくれたようだ 僕は一度だけ青空を見上げて、美宙に話し掛けた こっちは、まあボチボチやってますので、もうちょっとだけ待っててくださいね、と
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