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ニフルヘイムからの男
ニフルヘイムから男が着いた。男が6人。一人は領主の息子で他のものは付き人だろう。みんな土臭い匂いがした。
「ようこそリョサヘイムへ。わたくしがティヘレトです。さあ、みなさま大広間の方に案内致しますわ。」わたくしは、勤めて友好的に見えるように笑顔を作った。さあ、どういたしましょうか?大広間では父上があの宴を行っている最中。あそこに招待して差し上げるのが一番適当じゃないかしら・・・。
男達は、しずしずと大広間に入る。父上の卑しい笑い顔。そこで起きている事にたじろぐ男達。それを最高のおもてなしだと言って、席に着かせる父上。わたくしはその一部始終を見て笑いが止まらなくなるのを必死にこらえた。
夜になると、わたくしは領主の息子を部屋に招き入れた。
「我が国をご堪能されましたでしょうか?」わたくしは意地悪く聞いて見た。
「正直に言わせて頂いてもよろしいでしょうか。あれはどのようなご配慮からでございますか!」
「父上の趣味でございます。男の方はみなそうゆうものがお好きなのではないのですか?」
「あれは、ひどすぎます。あなた様はなぜ、これから婚約しようとする男をあのような場所に入れるのにためらわなかったのか!」
「婚約?一応そのような形にはなっているけれど、わたくしは、おまえを認めない。わたくしが婚約したのはニフルヘイム。私が愛するのもニフルヘイム。おまえはただそれに付属としてついて来ただけのこと。」
「それは、ありがたい。俺が自分を犠牲にまでして守ろうとしたものもニフルヘイムで、おまえ以外の女に一生愛し続ける事を誓って国を出てきたからだ!」
「それでしたら、その方をこちらに招き入れたらいかかでしょう?父上もああゆうお人なので、愛人に関しては何も申しはしませんし、わたくしも、おまえが何をしようとも感知しませんから。今からでも遅くはありませんわ。早馬を出して迎えを出してあげましょうか?」
「迎えには行けません。行く資格がありません。相手は、愛してはならないもの。俺が一人心を寄せているに過ぎないから、呼んでもここには多分来ない。」
「そう、相手は禁断の恋の方ね。姉上、妹上、それとも母上。」
「俺には姉も妹もいない。母上は幼い時に他界した。」
「それでしたら、人妻?兄上の妻なんか手頃でいいじゃないかしら?」
「もう沢山だ。話もしたくない。」
「わたくしに逆らってもいいのかしら?おまえは今日からわたくしの奴隷なのよ。立場をわきまえて下さいな。」
「使用人の部屋を使わせてあげる。今日からそこがお前のすべてよ。」
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