ラーグ

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ラーグ

「かごの中の鳥さん、少し話をしないかね。」 「ええ、なにからお話したらいいのかわかりませんけれど・・・」 「わしの名前はケセドという。このアザナレ村で祭司をしておる。先ほど間違えたソエルというのは、わしが一緒に暮らしていた子どもの名前じゃ。昨日の津波に流されたのか、探していた所で、あなたにあった。」 「ケセド様、私には、名前はありません。『かごの中の鳥』という名は、私を指す言葉であって私の名前ではないのです。」 「それでは、わしがあなたの名前を決めてもいいかな。」 「はい。お願いします。」 「この水の流れの中からやってきたから、『ラーグ』と名づけよう。『ラーグ』というのは、この国の言葉で流れを表す言葉なんじゃ。気に入ってもらえたかな。」 「ええ。とてもいい名前です。私は時の流れ、運気の流れを読むもの、ぴったりの名前だと思います。私をこれからラーグと呼んでもらえますか。」 「よろこんで、そうさせてもらうよ。『かごの中の鳥』では少し名前が長すぎるしのう。」 「これから、わしはラーグが占ってくれたアンナヘイム村まで、ソエルを探しに行く事にするが、この家で好きなだけ休んでいかれるとよい。」 「いいえ。私は行く宛ての無い身、ケセド様と一緒にソエルさんを探す旅についていってもよろしいでしょうか?」 「どうぞ。その代わり長い旅になりますがよろしいかのう?」 「構いません。連れてって下さい。」 「それでは、モウモウの背にここにある荷物を積んで、くれないか?」 「ええ。わかりました。」
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