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決意
「ティール様、ティヘレト姫はどんな用事があったんでしょうか?」
「あの女は、俺が祖国に愛する女がいると嘘をついたら、その女を愛人として、ここに連れて来いと言った。あいつは、ニフルヘイム目当てに、俺に近づき、そしてのっとろうとしているらしい。ここにいたらきっとお前達だけでなくニフルヘイム民も間違いなく殺されるだろう。だから頼みがある。お前達は愛人を連れて行くと言ってここから出ろ、そして、皆にその事を伝えろ。そして、『かごの中の鳥』に神託を頼め。」
「それでは、ティール様は・・・。」
「俺のことは構うな、ニフルヘイムの事だけを考えろ。おまえらは、愛する家族の元に帰りそして逃げろ。わかったな・・・。」
「それは出来ません。我々はティール様を守る為にここに使わされたものです。自分の命が尽きるまで、ティール様をお守り致します。」
「ありがとう、その気持ちだけで十分だ。犠牲はいらない。お前達がここに残っていても何も解決はしない。だから皆に伝えて欲しいんだ。今、ここに閉じ込められていることからもわかるだろう。相手は、俺達と対等になんか思っていない。時間をかせいで、民を引きつれ逃げろ。わかったな。」
「それではティール様が・・・」
「心配いらない。大丈夫だ。ヘイムダム、お前には、手紙の女がいただろう。その女はお前が無事に戻る事を必死に祈っている。その女の為にも生きろ。まだ一度も顔を見たことがないんだろ?ここにいたら一生逢えない。自分の人生を無駄にするな。」
ヘイムダムは女の事を考えると胸が痛くなって、何も言えなくなった。
「ティール様、わしはティール様と一緒に残ります。わしには家族もおりません。守りたいものと言えば、今はティール様のみです。」
「ありがとう、ウル大佐。苦労をかけてすまない。」
「幼少の頃から、見守っておりましたゆえ、今更、何をおっしゃられても平気です。お前ら、さっさと旅立ちの準備をしないか!姫の気分が変わったら、もうここから出れないかもしれないんだぞ。」
「わかりました。大佐。」と4人は声をそろえて敬礼した。
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