「朝の訪れ」

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  「朝の訪れ」

 女は日差しの眩しさに目を開けた。空はとても青くそして、澄んでいた。  そっと、左手の薬指に目を移す。そこにはしっかりと指輪がはめられていた。それを見届けると、安心したかのように空を見上げた。地上では、ティールを乗せた一団がリョサヘイムに向かう準備をしていた。ティールは白ハトの足に紙を結びつけて、誰にも見られない様に空に放った。 ハトは中を舞い、楼に止まった。 女はハトから素早く紙をはずし、文字を読んだ。 「返事はいらない。俺の左手を見よ。世界の終わりを待ち、生涯君を愛する。」とそこには書かれてあった。 女が地上を見ると、男が左手を大きく空に掲げているのが見えた。その指には指輪がはめ込まれていた。
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