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お腹が空いた。
ガタリ、ガタリ、自分の動きが鈍くなるのを感じる。
目の前が段々と暗くなっているような気がする。
お腹が空いた。
最後に栄養をとったのは......朝には満腹だった。
7時丁度に食事が終わって、そこから慌ただしくて。今日は月曜日だから。
アラーム止めて、調べ物。今日の天気。今日は最低気温が5度。そうだ、寒くて、栄養の減りが余計に多かったんだ。
帰ってきて、ソファーの上で天井を見つめたまま。
お腹が空いたな。
ずっとそのまま、動けずにいる。
ふと、良い匂いが台所から流れる。
あの子が作ってるんだ。
ずっと隣にいた彼が勢いよく立ち上がった。
「カレーだ!」
私は少し悲しくなり、目を閉じた。
それから何分かして、彼と台所にいたあの子が一緒に居間に入ってくる。
もちろん、カレーは2人分だけで、彼とあの子はすぐに手を付け始めた。
「美味しいよ、ありがとう」
楽しそうにカレーを頬張る彼らを横目で見る。羨ましい。
ソファーの上に放っておかれたまま、自分の体力がみるみる落ちていくのを感じる。
最後は体力の減りが早くなる。体温がぐんぐん上がる。遂に、自分の黒目が赤くなった。
しかし、彼らはそれでも気づかず、話に花を咲かせ、カレーのおかわりをする。白いきらきらな白飯に美しく流れるカレー。
あの子、ついこの前までは、カレーを作るのに私を必要としていたのにね。もう1人で作れるようになったのね。私は恨めしくあの子を見つめるのに、あの子は私に気づくことはない。彼に夢中。凄く嬉しいそうな顔をして。
あぁ、お腹が空いた。限界が来た。早く......
そして、私の意識は切れた。
「あ、ねぇ、スマホの充電切れてた。明日のアラームかけられないから、君のスマホ使って良い?」
「いいよ。早く充電しときなよ」
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