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言霊
夏樹のギターソロで始まった静かな曲。
静まり返った会場に、優しい蓮の歌声が響き渡る。
『いつもそばにいてくれたね
ずっと、ずっと、ずっと
当たり前だと思ってた
暗闇に放り出されたとしても
君が見つけてくれると信じていた
ありがとう
あいしてる
言葉で伝えられない僕は
溢れ出そうなこの想いを
言霊にして
いつか いつか
僕のこの思いが
君に届きますように
別の道を歩むとしても
ずっと、ずっと、ずっと
変わらない想いのまま
幸せを諦めないで居てほしい
君が笑顔のままだと信じてるよ
ありがとう
あいしてる
言葉で伝えられない僕は
溢れ出そうなこの想いを
言霊にして
いつか いつか
僕のこの願いが
君に届きますように
この想いも 言霊にして』
真奈美は、涙が止まらなかった。
「…達樹さんへのラブレターですね…」
泣きながら隣の達樹に囁くと、
「アイツ、バカだろ…」
そう言って、堪えきれない涙が頬を伝った。
真奈美は、隣の達樹の左手を右手で握りしめて、
「たくさん夏樹さんに恩返ししましょうね」
そう囁いた。
『わかった』とでも言うように、達樹は真奈美と繋がれた手を優しく握りしめた。
ライブは終わっても、観客はなかなか帰らず、夏樹の引退を惜しんだ。
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