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旅立ち
粉雪が舞う晴天の空。
夏樹が空へと旅立った。
彼が残したのは、一通の手紙だった。
その宛名は『真奈美ちゃんへ』だった。
真奈美が達樹から受け取ったその手紙。
一人で自宅の自分の部屋でその手紙を見つめる。
封筒を開けてピンク色の便箋を取り出した。
『真奈美ちゃんへ
僕は、君の事が本当に大好きだったよ。
君には感謝しかないです。
僕のことを『可哀想な人』と思わず、
ただ夏樹という一人の人として接してくれて
いるのが伝わってきて、嬉しかったよ。
料理作らせたり、困らせたり…
たくさんごめんね。
でもね、これで君は僕のことを『いい人』
なんかじゃなく、手のかかるヤツだと思っ
てくれるよね?
僕ね、君にとって、『記憶に残る人』で
居たかったの。
君と達樹には、僕の事を思い出す時にはね、
笑っていてほしいから。
最後に…、
達樹が心から愛した君を、僕も愛してます。
僕にとって、大切な大切な達樹の事、
よろしくお願いします。
夏樹より』
手紙を読んで、真奈美は、涙が溢れた。
『もう、ホントに達樹さんが大好きなんだから…』
心の中で、そう思いながら、手紙を胸の中でそっと抱きしめた。
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