その色彩は破滅を招くのか

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 ない。コレはマジでない! 未成年飲酒とか不法侵入とかケーサツとか、そんなのがすべて吹っ飛んだ。追いつかれたら、ガチで殺される。こんなあっさりと、唐突に。ルール違反だと叫びたくなった。こんなの、ズルい。こんな一方的な終わりがあってたまるか!  なんとか敷地を抜けるが、飛び出した拍子に通行人にぶつかった。きゃあと悲鳴を上げたのは、山口だった。 「なんっだよ、お前! なんでいんだよ!」  焦りと苛立ちでわめき散らすが、山口はきょとんとしている。 「なんでって、塾帰りだけど。高橋君は――」 「いいから来い! 走れ!」 「なに、なんなの」 「いいから! 後ろに――」  山口の視線が背後に向いたことの意味は、すぐに理解できた。だからといってなにができるわけでもなく、俺は振り返る。  男が刃物を突き出していた。その標的は追いかけていたはずの俺じゃなくて、無防備に立っている山口だった。  ――このとき、どちらかが助かるための選択肢が俺にはふたつあった。  山口を見捨てて逃げるか、山口を庇って男と戦うかだ。  逃げれば俺は助かるが、山口は殺されるかもしれない。戦えば二人とも助かるかもしれないが、俺が殺されるかもしれない。でも俺は、どちらの選択肢も選べなかった。
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