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「なにこの子。お前の知り合い?」
「知りたかねえっす」
「ほら立って! こんなところで座ってたらほかのお客さんに迷惑でしょ!」
「お前ここの店員じゃねえだろ……。つか、なんで俺だけ」
一人狙いなのを指摘すると、山口は痛いところを突かれたとでも言いたげに視線を逸らし、指を曲げた。
「……上級生に立てって言うのは……ちょっと」
「相手選んでんじゃねえよ優等生!」
「アハハ! ほら立ってやれよ、直哉」
「ついでにゴミも捨ててきてくれよ、高橋クン」
「高橋君はやめてくださいよ……」
とはいえ、先輩には逆らえず空き缶を受け取った。山口はなぜかついてくる。さすがに俺も反抗心から違うゴミ箱に捨てる気にはなれず、表示通りの穴に突っ込んだ。
「お前、マジでなんなんだよ朝から」
「私が言いたいよ。見かけるたびになにかやってるんだもの」
「学校帰りくらい好きにさせろよ。買い食いなんてだれも損しねえし、店からすりゃあプラスだろ」
「どこが。入り口前に不良がたむろってだれが得するの。むしろ損じゃない」
「だれが不良だ、だれが」
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