その色彩は破滅を招くのか

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 先輩んちで飲みながら駄弁って、帰りがまあまあ遅くなった。まあ、母さんは明け方まで仕事で帰ってこねえし、朝帰りでも友達の家で寝落ちしたって言えばそれで済む。だからなにも問題はねえけど、真冬の夜の寒さは堪えた。息が煙って、アルコールで温まったはずの体が瞬く間に冷えていく。  そうだ、家に帰る前にまたコンビニに寄ってゴミ捨ててかねえと。  親に見つかったらうるせえから、家に持ち寄ったらそれぞれで持ち帰って隠滅するのが習慣だった。リュックのなかで、空き缶の入ったビニール袋が音を立てる。  となると、いつもの道はだめだ。警官がたまにうろついてる。そんな飲んでねえけど、念のためだ。荷物見られたらバレるし、そうなったら警察沙汰である。リスクは避けたい。  ――そういや、ここのマンションの敷地通れば近道だっけか。  通りがかったマンションの、居住者以外立ち入り禁止の看板をシカトして敷地に入った。  いつもなら看板なんて目につかないのに、山口のせいだ。あのいい子チャンがうるせえから、変に目についちまった。  ルール、ルール、バカらしい。どうせ大人になったらがんじがらめなんだから、今ぐらい好きにさせろっての。いい子チャンやりたいんなら一人でやってろ、俺を巻き込むな。
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