彼女は耽美令嬢ヴィクトリア

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彼女は耽美令嬢ヴィクトリア

「まあ、なんて美しいの」  齢七歳のヴィクトリアは、白く透き通った頬を朱に染めて呟いた。  悪臭漂うスラム街でのことだった。  舗装もされていない土の道で、汚泥に塗れて倒れ伏す一人の少年を、ヴィクトリアは見ていた。  この世の不幸すべてを詰め込んだような、絶望しきった顔を。 「あなた、わたくしの傍に侍ることを、許してあげるわ」  それが二人の出会いだった。
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