『彼女のランチタイムが大変です』

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 羽木の恋の相手が僕だとバレてしまう。なんだか申し訳ない気がする。 それに、なぜ翼ちゃんの身代わりになって僕が心臓検診を受けたのか、説明しなければいけなくなるだろう。翼ちゃんがゾンビだというヒミツを知っている人物は少ない方がいい。 「ゴホゴホッ」取りあえず咳き込んで話題を変えようと試みる。 「大丈夫か、松本。水飲む?」 僕の背中をさすりながら、羽木が自分の水筒を差し出してくる。もともとチャラ男である以外は良い奴だったが、チャラ男を返上した今、もはやただのかっこいいナイスガイだ。しかも気が利く。 翼ちゃんが羽木を好きになってもおかしくない。頼むからチャラ男にもどってくれ。複雑な男心だ。  僕たちを眺めていた翼ちゃんがにっこり笑って、羽木に聞いた。 「ねえ、その心臓検診で見かけた女の子をどうして探しているの?」 「……あー、えっと」 「もしかしてさ……、ひ・と・め・ぼ・れ?」  翼ちゃんの瞳がキラッときらめく。まるで新しいおもちゃをもらった子供みたいだ。 「う、まあ……」  羽木があいまいな返答をしたので、「なんだよ、昨日は運命の出会いだって言っていなかったか?」とついからかってしまった。軽い気持ちならありがたい。 「運命……?」
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