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「それで、翼のお弁当はレバ刺し? それとも馬刺し?」
――だからっ、生肉から離れてくれ、スイカさん!
スイカさんの失礼発言にも、天使でゾンビな翼ちゃんはキャハハと笑った。
「違うよー。食べようと思えばなんでも食べられるんだけど、固形のものは消化しにくいみたいで、少ししか食べられないの。
ゼリー飲料みたいなのでもいいんだけど、お母さんがそれじゃあ味気ないから、っていつもこれ。あと、これ!」と言って、翼ちゃんが「ジャーン」と効果音付きできんちゃく袋から取り出したのは、小さなプラスチックの容器とスープジャーだ。
翼ちゃんが赤のチェックのプラスチック容器のフタを開けると、バラバラの指が五本、入っていた。
「ぎゃっ! 翼、やっぱり人間を食べるの?!」
スイカさんはのけぞった勢いで、椅子ごとガタンッと音を立てて後ろに倒れた。
「いったーい!」
「ありゃりゃ。スイカちゃん、大丈夫?」
翼ちゃんが楽しそうに笑いながら言った。翼ちゃんの屈託のない笑顔は、まるで小さな子供のように無邪気だけど、スイカさんには余計に恐ろしく映ったようで、ジリジリと後ずさった。
「ははっ」
思わず笑ってしまった。翼ちゃんにいつも驚かされている身としては、たまには他の人が驚いているところを見るのも悪くない。
「ほらほら、スイカちゃん、よく見てー」
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