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「ちょっと聞いて欲しいことがあるんだ。駅前のジャッキーに付き合ってくれよ」
この時、心臓検診ミッションの成功で、僕はいつになく気をよくしていたんだ。
ハンバーガーショップのジャッキーでポテトかナゲット、気分によってはハンバーガーのひとつもつまみ、理由を羽木に言うことは出来ないが、エアーではないドリンクで祝杯をあげたいと、うっかり思ってしまったのが間違いだったのだ。
「おごるよ」
「え、いいよ」
「話を聞いてもらうんだから、当然だろ?」
「いや、いいって」
「そういうなよ。俺、今日までの期間限定ポイント持ってるんだ。気にするなって」
……結局、僕たちは自転車を走らせ、ハンバーガーショップのジャッキーに向かった。
「チーズバーガーセット、二つ。ドリンクは、コーラと……」僕を振り返って聞く。「松本はドリンク、何にする?」
「僕もコーラで」
それぞれ注文した品が乗ったプラスチックトレーを受け取ると、四角い簡素なテーブルに運ぶ。席に座るか座らないかのうちに、羽木がしゃべりだした。
「俺、チャラ男は返上するよ」
「は?」
「オンリーワンと運命の出会いをしたんだ」
「へえ、羽木がねぇ! どんな子なんだ? 今まで会ったことがなかったってことは、他の学年か?」
「いや、同じ学年らしい」
「らしい? 羽木らしくないじゃないか」
「だろ? 俺も学校中の女子を知っていると思っていたよ!」
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