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それにしても女の子は複数になると、なぜあんなに強気になるのだろうか?
急にノリノリになった二人に、ブラジャーをつけさせられ、(翼ちゃんが自分のをはずして貸してくれた。嬉しかったが、ひんやり冷たかった)カップの中には保健室の戸棚にあった脱脂綿を詰め込まれた。
なぜか保健室のキャビネットに入っていた肩ほどの長さのウィッグを被せられた。おそらくウィッグを必要とする生徒に貸し出すために置いてあるのだろう。例えば円形脱毛症とか。
仕上げに左目に眼帯をしたが、おあつらえ向きにさっきスイカさんに殴られた左目の周りが青くなっていた。見えない部分まで完璧だ。
カモフラージュするため、検診を受けている間もスイカさんが隣でしゃべり続け、自分に注意が向くようにしてくれた。体操着を胸の下まで持ち上げるようにすると、服の中で聴診器がポンポンとあてられる。手でじかに体に触る訳ではないので、替え玉だということは気が付かれなかった。
検診は無事に済んだ……と思っていた。今、この瞬間までは。
僕は頭を抱えた。急に食欲がなくなった僕を心配して、食べきれなくなったチーズバーガーを、羽木が持ち帰り用の袋をもらってきて持たせてくれた。
羽木が優しい程、僕の胸はずきりと痛む……。
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