死にかけで始まる恋もある

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スマホの着信に出る 「はい、え?ミサが交通事故に!?」 走って病院に向かい病室に入るとおばさんが泣いている 「おばさん!ミサは大丈夫なんですか?」 「ああ、ケントくん!ミサが!ミサが!5年前に旦那も事故で居なくなったのに、ミサまで居なくなったら私はどうすれば!あぁぁぁ!」 「ミサはそんなに危ないんですか!?」 「せ、先生が言うには幸い重症とまでは行かなかったらしいんだけど、私怖くて、怖くて」 「おばさん、大丈夫、大丈夫だから」 『あれ?ウチ死んでないんだぁラッキー!』 「え?」 視線の先には半透明のミサが手を振ってこっちを見てる 「ミサ?」 「ミサ?ミサがどうしたの?まさか目覚めたの!?」 おばさんはそう言ってミサの枕元にミサの半透明の体をすり抜けて通っていった。 もちろん寝ているミサが目を覚ましているわけもなく泣き崩れる 『あー、ケントにしか見えない感じ?まじで?ウケんだけど、てことはぁ、ケント!体に戻れるまでお世話になります!』 は?はぁぁぁ?!?!?!?! 叫ぶこともできず顔を引きつらせて俺は半透明のミサを見るのだった。 『へぇー、ケントの部屋きれいジャーン!フィギュアとか漫画多いけど』 「なんでついて来るんだよ」 『えー?だってケントにし見えないからしかたなくない?』 「男のしかもお前と相容れないオタクの部屋来ても面白いことなんてないだろ」 『ぜーんぜん?めっちゃ見るとこいっぱいあるしチョー楽しい、だいたい幼馴染で昔は部屋行き合ってたじゃん、今更じゃない?』 「お前が中学でギャルデビューしてからは疎遠だったけどな」 『そだよねぇ、ケント、チョーウチのこと避けてて乗り悪かったもんねぇ、ありえんくない?ひどくない?まじパオンなんだけど』 「社会人にもなってその喋り方やめたほうが良くないか?」 『ケント頭硬すぎー、今はこんなんでも社会出れるんだっつーの!てか海賊物語あんじゃん!読んでいい?あ、手すり抜けんじゃんこれじゃ読めないっつうのwwwチョーうけるぅwww』 あぁこれからこのうるさい奴と生活するのかと思いながらミサを見れば半透明のミサがニカッと笑う 『今日からよろぴく!けぇんと♡』 幽霊だからか化粧もなくだが金髪のミサに幼い時の面影を感じて毒気を抜けれた。 まだ生きている彼女が体に戻れるまで付き合ってやるかと思うのだった。 翌日から騒がしい俺の日々が始まる と思った。 騒がしいアラームに乗って聞こえる声 『ケーント、もう朝じゃんんおっきろー』 「ん、もう少しだけ」 『ダメダメー!この時間に起きるからアラームてんでしょ!おっきろー!』 「うーぅううわかったよ」 『よっし!偉い偉い!』 起きてうがいして顔洗ってコーヒー飲みながらパン食って着替えて出社いつもの日々を眺めるミサはずっとついて来る 「会社までくんの?」 『だって一人じゃ暇じゃーん?』 「はぁ、邪魔するなよ」 『りょりょー!』 会社に行っていつも通り仕事をして少し残業になるとなれば年を重ねただけの課長のターゲットになると言う運の悪さ 「今は何でもシステムだのパソコンだの済ますのに何でこんなに仕事が遅いんだ?俺たちが手で稼いでる時の方がもっと早く終わってたぞ? まったくテクノロジーなんかに頼って甘えてるから遅いんだよそう思うだろ?ケント君」 「そうですね」 「ふ、まぁ君はまだまだ経験が足りなからねぇ、特に優秀でもないしねぇ、ま、俺に迷惑かけるなよ、はっはっは!」 お前がぎりぎりに仕事を押し付けて来たんだろうと言う事はできないで悔しい思いをしていれば不機嫌なミサの声 『なにあのチビ狸河童、ちょーうざいじゃん』 河童ぁ 狸河童、薄毛どころか剥げなのに薄毛隠しで頭のてっぺんがてかてかで 小さくて丸い丸眼鏡の狸おやじにぴったりなあだ名だ 「は、はははは!それ最高!」 人の居なくなったオフィスに俺の笑い声が響く、俺が笑えばミサが不機嫌になる 『笑いどころじゃないしー、その仕事チビ狸河童が押し付けてのじゃーん、怒るところっしょー?』 「ふ、はは、いいよ、ミサのおかげでどうでもよくなったありがとう」 『へ?な、ならいいけどー、てか仕事早く終わらせて帰んない?つかチビ狸河童の机に置いて帰ろーよー』 「そんなことしたらめんどくさいからな、暇かもしれないけどもうちょっと付き合ってくれ」 『了解道中膝栗毛ー!』 「なんだそれ、ははっ」 子供のようにニカッと笑うミサに何だか俺は癒された。 ミサは思ったよりも大人しく、俺の生活の中になじんでいった。 「ミサ、今日はお見舞いに行くぞ」 『だれのー?』 「お前のだよ」 『ここに居んじゃん』 「体に戻れるか試してみなきゃだろ」 『あー、そだねぇ』 「なんで興味ないんだよ、行くぞ」 『りー』 病院に行けばおばさんがいる 「あーケント君、来てくれたのね」 だいぶ憔悴している顔をしている 「大丈夫ですか?顔色が悪いですよ」 おばさんを気遣えば疲れ切った顔で笑う 「大丈夫よ、でもミサがなかなか目を覚まさなくてね、このまま目覚めないのかと思うと、うぅぅ」 「大丈夫、大丈夫ですよ」 俺がおばさんを慰めていると、ミサは体に入ってみたりとするが戻れる様子はない、首を振るミサを見て、ダメかと思い、おばさんが心配だがいったん帰ることにした。 その夜俺は眠れぬ夜を布団の中で過ごしていると話しかけられる 『ケント眠れない感じぃ?』 「お前はなんで戻れないんだろうな」 俺がそう言うとミサは話を変える 『ケントさ、昔から漫画とか好きじゃんね』 「話変えんなよ」 『ギャルのかわいい子とかさぁめっちゃ好きなのになぁんで私がギャルになったら避けたわけ?』 「は?二次元と3次元じゃ違うだろ、だいたいお前の友達ヤンキーとギャルばっかで俺なんかと付き合ってたら馬鹿にされんだろ」 『うちは!私は!ケントがギャルを好きだと思ったから!』 「え?」 『私だって最初みんなの事怖かったけど、ケントがギャル可愛いって言ってたから、頑張ってギャルになったのに友達増える度にケント離れて行くんだもん、ずっと寂しかった。側に行きたかった!話したかった!付き合いたかったから頑張ってたの!』 「ミサ・・・」 『私じゃケントの好きになれない?私のギャルじゃだめ?幽霊でケントの隣にいれるならミサはずっとケントの幽霊で居たい』 手を伸ばしても触れることは出来ない 「ミサ、早く体に戻れよ」 『なんで?私迷惑なの?邪魔してないよ、やっぱりミサじゃ・・・』「俺さ!」 「キャラクターとかはギャルが好きだったけど、3次元の好きはミサだったんだ。でもミサが急に変わって陽キャと絡むようになったから邪魔にならないように身を引いたんだ。でもさ、幽霊のお前見て全然変わらない笑顔で笑ってて好きだなぁって気持ち、また芽生えたんだ」 『ケント・・・・』 「今すっげぇミサの事抱きしめたい、だから体に戻ってよ」 『ほんと?ほんとにミサの事好き?』 「あぁ」 『ケント!ケント!』 ミサは光って消えて行った。 俺は急いで病院に向かう 「ケント君!ミサが!」 おばさんの言葉よりも先に俺はミサを抱きしめた 強く強く もう離さないと
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