男爵

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「肌寒いけど、ここから見ると綺麗な街だね」 「この当たりはまだ平和ですから。ここからも山は見えますが、田畑は反対側なので見えませんね。街ではたまに行商人達が珍しいものを売りに来ると聞いてます」 「行ってみたいけど……」 「しばらく滞在ですから行けると思いますよ。おすすめの茶屋があります。おばあさんの店なんですが、実は男爵の祖母なんです。身分は隠してますが」 「へぇ。どんな人なんだろう」 街に行ったら寄ってみようと話をし、泰我とユーリがいないことに嫌な予感がする。 「絶対、なんかの花のエキスとか言ってたから取りに行かせたんだ!」 自分で行けばいいのにと文句を言っていると、「相変わらずと言いますか、変わってなくて良かったんじゃないですか?」とノアが笑っているので、それもそうかと他も見て回るが、所々に飾ってある花や花瓶、油絵などはかなりオシャレで男爵の趣味の良さがわかる。 が、一つだけ。 「廊下の角々にある魔物の剥製が怖い!」 「こちらの魔物は顔が残念ですが、これらはまだ可愛い方ですよ」 「そうなんだけど……」 幻界と天界の魔物のがまだマシな顔だと言っていると、メイド服を来た人が晩餐のご用意が出来ましたと案内してくれる。
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