男爵

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長いテーブルに真っ白なテーブルクロス。真ん中には所々に燭台が置いてあり、案内された席に座りみんなが揃ってからコース料理となっていた。 「おお、ステーキだ」 「魔牛の中でも希少部位の肉だな」と一口で食べたんじゃないだろうか?と言う結月の言葉に急いで食べようとしたら、しっかりとオカワリの肉が結月に運ばれてくる。 なんだかずるいと思いながらも、サラダは畑で取れたもの、スープも濃厚で美味しいがかなり透き通っていて手間がかかっているだろうなと堪能したいのに、隣でオカワリばかりされる結月にかなり呆れてしまう。 その食欲を息子に渡してやれと何度口から出そうになったことか! 「アイス?」 「こちらは氷の地ですので固めるものは自然にできます。氷の貯蔵庫で牛の乳を固めたもので、人間界のアイスクリームというのを真似してみたものになります」 少し食べると、牛乳の味が強かったが、普通に美味しい。 「これは売れないの?」 「沢山は作れないのです。街には貯蔵庫がありませんし、食べる習慣もありませんから」 「そうなんだ。美味しいのにね」 食後はテーブルを片付けてから街を中心とした地図が広げられ、ディランとサイラスも呼ばれて男爵が手に入れた情報を聴きながら地図に書き込みをしていく。
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