男爵

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「る、ルーカス様!」と床に這いつくばって頭が埋まるほど頭を下げて、ひたすら謝っている。 「いい。お前は変な薬……でいいか。それで変になっていただけだ。俺たちはその男を探してる。顔とか髪の色、背の高さなんでもいいから思い出せるだけ思い出せ」 「は、はい。顔はフードで分かりません。髪は魔界では珍しく、くすんだ金髪で、かなり長いかと。フードから出ている長さで胸くらい。それと、どこかの坊ちゃんと思うほど言葉遣いが丁寧でございやした。あとは、家に来た時……マフラーを貰いました。村は夜は特に寒いので、村人に悪いなと思ったので覚えているのと、村はずれの山沿いの一角にたまに来るように言われて……なにかしたような」 「魔法陣のところかな?」 「多分な。村人はなにか貰っていたか?」 「反物を。みんなで使える分貰ったので、女たちがみんなの分を何かしら作って身につけていたはずですが、主に男は首巻。女は肩掛けにしていたかと」と、首に巻いていたマフラーを渡してくる。 「これ……」 「間違いないな。ノア、ほかの村人の持ち物も回収してくれ。暖を取れるものは没収はしてないはずだ」 「集めたものは?」 「親父が面白い袋を持っててな、魔法など遮断するらしい。いくつか持ってるから、ひとつ貰ってそこに入れてくれ」 「他にお伝えすることはありますか?」 「そうだな。村人は暫くはここで面倒見て欲しいと。飯とかは囚人では無いから普通に。結月の指示で村に戻すまでと伝えてくれたらわかる」 「すぐに取り掛かります」 ノアが出ていって、今度は何を聞くのだろうと思っていたら、街には行ったかどうか、いつも行く場所などの確認だけで牢を出ることになった。 「ルーカス様。わしゃあ、なんの罰でも受けます。村人は助けてやってくれませんか」 「魔王が決めることだ。暫くは横になっておけ」と少し冷たいが、やはり村ひとつのことをルーカスだけで決められるものでは無いのだろう。
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