男爵

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「全部で四軒かぁ。すぐ渡してくれるといいけど」 「とりあえず一軒目何とかなるといいんだが」 「ルーカス様、購入代金を払って引き取るのですか?」 「それだけで済めばいいが……」 一軒目の家をノックすると、メイドの人が出てきて中に通される。 いくら富裕層でもやはりルーカスの顔を見た瞬間、ちゃんと礼を取っているが、民とは違い片膝を着いた形。 「これとよく似たペンダントを購入したと聞いてきた。代金は払うから城に渡して欲しい」と持ってきていた害のない欠片を見せる。 「ああ、それでしたら妻が身につけて出掛けましたが」 「どこに行かれたか分かりますか?」 「街に人間界のサーカスと言うショーが今夜出るとの事で、今は街で食事中かと思いますが」 「引取りは構わないか?」 「私は構いませんが、妻はかなり気に入ってますので……」 「店主から聞いた売値は一万魔通貨。これに迷惑料として五千魔通貨支払います」 「いえ、城からのお達しでしたら買値だけで」 なんだか、聞いていたよりスムーズだなとノアを見ると、チラっとニコルを見るので見てみると少し溜息をつきながらお金の入った袋を渡している。 家から出て「ねえ、なんでため息ついてたの?」とニコルに聞いてみる。
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