俺も、相当な⋯

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俺も、相当な⋯

俺は巨漢三人を睨んだ。とてもじゃないが、喧嘩に慣れぬ俺が勝てる相手じゃない。それなのに、不思議と()ける気もしなかった。いくら殴られたって、意識を飛ばされたって敗けない自信がある。勝つのではない。敗けないのだ。俺の非力な拳はこいつらに通じないだろう。だが、死という一点において、こいつらは確実に手を抜く。学校内で殺人をするほどの胆力をこいつらは絶対持っていない。だから、殺されないなら、俺は敗けない! 「なんだァ、その眼は? おれらに勝てるわけねーだろ、バカが」 胸ぐらを(ひね)り上げて巨漢が言った。その腕力はクレーンで吊り上げられているようだ。しかし、敗けないと思う俺にとって、それは単なる力自慢に過ぎなかった。 「⋯⋯だ、⋯⋯ろ」 俺も、相当な馬鹿野郎だな。 「あァ? (ナン)つった?」 美梅ちゃんを泣かせる真似は、決して許せないんだ。 「時間の無駄だ、どいてろ。と言ったんだ。なあ先輩さん、(きゅう)()猫を嚙むって知ってるか。難しい言葉だから知らないか。あんたら頭悪そうだもんな」 言い終える前に、相手の顔面に頭突きを見舞ってやった。鼻が折れたんだろう、巨漢は大量に出血して横ざまに倒れた。
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