49人が本棚に入れています
本棚に追加
俺も、相当な⋯
俺は巨漢三人を睨んだ。とてもじゃないが、喧嘩に慣れぬ俺が勝てる相手じゃない。それなのに、不思議と敗ける気もしなかった。いくら殴られたって、意識を飛ばされたって敗けない自信がある。勝つのではない。敗けないのだ。俺の非力な拳はこいつらに通じないだろう。だが、死という一点において、こいつらは確実に手を抜く。学校内で殺人をするほどの胆力をこいつらは絶対持っていない。だから、殺されないなら、俺は敗けない!
「なんだァ、その眼は? おれらに勝てるわけねーだろ、バカが」
胸ぐらを捻り上げて巨漢が言った。その腕力はクレーンで吊り上げられているようだ。しかし、敗けないと思う俺にとって、それは単なる力自慢に過ぎなかった。
「⋯⋯だ、⋯⋯ろ」
俺も、相当な馬鹿野郎だな。
「あァ? 何つった?」
美梅ちゃんを泣かせる真似は、決して許せないんだ。
「時間の無駄だ、どいてろ。と言ったんだ。なあ先輩さん、窮鼠猫を嚙むって知ってるか。難しい言葉だから知らないか。あんたら頭悪そうだもんな」
言い終える前に、相手の顔面に頭突きを見舞ってやった。鼻が折れたんだろう、巨漢は大量に出血して横ざまに倒れた。
最初のコメントを投稿しよう!