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走れ!
中南が、俺の背をポンと押した。
「十川、行け。美梅を助けてやれ」
言われ、俺は巨漢の一人を押し退け、ダッと走り出す。一刻も早く、美梅ちゃんのもとへ!
中南は優しげな雰囲気を醸すイケメンだが、あれでいて将来を期待されている格闘家だ。「喧嘩をするならローキックオンリー」と言っていた。腕力に物言わす巨漢ならば、セミプロのローキック攻撃は耐えきれまい。
昇降口がざわめいている。巨漢を相手に立ち回る中南は、また女子たちの熱視線を浴びるだろうが、そんなことはあいつが処理すればいいことだ。
俺はとにかく美梅ちゃんのために!
走れ! それで死んでもいい、とにかく走れっ!
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