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やばい、お腹すいた。
隣から寝息が聞こえてきても一向に眠気が訪れなかった香川だが、ここへ来て新たな問題が浮上した。
眠気より空腹。これはやっかいだ。
我慢してやり過ごし、眠気が出てくるのを待っていたが少し腹に入れて寝た方が早そうな気がする。
確かシンク下に袋麺が入っていた。それでいいか、カップラーメンがあればそれにするのだが備蓄はない。買っておけばよかった。
隣で眠る同居人という名の恋人、三田村を起こさないようにそっと半身を起こし、ベッドから抜け出る。
フローリングで足裏が一瞬ヒヤリとしたが、そのままそそくさと部屋から出ていく。
また直ぐ寝るから靴下はいいか。真冬ではない3月下旬、スウェット上下でもそこまで寒くはない。
そのまま短い廊下を直進してリビングに入る。
キッチンからダイニングもリビングも兼任する広い空間。二間だった部屋をリノベーションで壁を取り除き一つの部屋にしているので広い。
袋麺と思ったが、冷凍庫を先に覗く。
何か冷凍食品は……焼きおにぎりがある。
焼きおにぎりか、ピラフとかチャーハンがよかったな……もしくはパスタ。
冷凍庫の引き出しを閉め、上段の扉を開ける。
目ぼしいものはない。いつもであれば三田村が作り置きしているタッパーが入っているのだが、今は煮玉子を漬けているのが一つだけ入っている。これは食べない方がいいやつだ。
今日は金曜日。明日買い物に行き、週明け食べる分を土日で作り置く。作るのは恋人の三田村で、香川は食べる専門だ。
どうしよう。やはりラーメン作るか?
煮玉子はまだ味が染みてないから、今食べたら三田村もいい顔はしないだろう。
だけど煮玉子のタッパーの横にはビニール袋に入った卵が2つ。ゆで卵だ。
そういえば、タッパーに入り切らないから明日にでも食べてと言っていた。
そうだ!
何心ニンマリしながら、香川はゆで卵の入ったビニール袋を取り出した。
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