ハイカラ乙女は青い瞳に惹かれ出す

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「千代さん、こちらにどうぞ。私お弁当を余分に持ってきているので、食べてくださらないかしら?とても食べ切れないの」 「えっ?いいんですか?」 今、私に声をかけてきたのは、九曜 鈴乃(クヨウ スズノ)さん。 彼女も華族だけど、同じ学舎で学ぶ者として気さくに接してくれる。 皇室の親戚筋ではあるけど、宮様と呼ばれるのは嫌なんだそうだ。 私達は鈴乃さんの方が好ましいと感じて、彼女の方に足が向いてしまう。 宮様の叔乃さんは苦手だもの。 鈴乃さんから頂いたお弁当は美味しかった。 カボチャの煮付けなんか、口に入れたらホロホロと崩れて溶けるようで、家の煮付けより美味しい。 全て食べ終えて、少しだけ袴の締め付けを緩める。 はしたないけど、こうしないとお腹が苦しくなっちゃう。 「ごちそう様でした。どれも美味しかったです。お弁当箱は洗ってお返ししますね」 「いえ、そのままで。私が食べたことにしないといけないので。実は私が食べていた方は、私が作ったお弁当で、花嫁修業の一つと思って作ってみましたけど、難しいものですね」 鈴乃さんは卒業と同時に結婚するって話していたことがあったけど、自分で花嫁修業をするなんて凄いわ。 私は嫌々やっているのに…。
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