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花嫁修業が嫌なのは婚約者が嫌な人だから。
本当に出家しようかな。
丸坊主にすれば吹っ切れて、他の尼さんと一緒に仏様に仕える気持ちが高まるかもね!
「帰りたくないなぁ…。帰ったらまた花嫁修業とか言って、繕いとかさせられるし。あの人の為の繕いものとか絶対嫌…!私は自由に結婚したい、楽しい恋もしてみたい…」
帰り道に呟く。
その呟きに涙が出てきた。
どんどん気持ちが涙と一緒溢れて止まらない。
「もうやだ…。誰か助けてよ…」
しゃくりあげて呟いても何も変わらないのは分かっているけど、それでも愚痴を言うくらいは許してほしい。
「ハイ、キュートなお嬢さん!とっても嘆いているのですね。僕にワケを話してみては?僕が涙を止められるかもしれませんよ?」
「え…?ど、どなた…?」
「申し遅れました、僕はアルベルト・クロイツ…日本では黒津 有辺留(クロツ アベル)と名乗っています。良ければ、アルベルトかアベルと呼んでください。次はあなたのお名前を教えてください」
「私は平多仁 千代(ヒラタニ チヨ)です。え…と…アルベルト様は異国の方ですよね?」
「呼び捨てでいいのに…。僕はドイツから仕事と観光旅行で日本にきました。チヨちゃんはドイツを知ってますか?」
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