ハイカラ乙女は青い瞳に惹かれ出す

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目が覚めたら、また暗い蔵の中なんだから、夢くらい幸せでもいいじゃない。 「チヨちゃん、目が覚めた?」 「アルベルトさん!?何で!?夢、そうよね夢だわ!」 「夢じゃないよ。実はここはドイツ行きの船の中だったりします」 「えぇっ!?」 アルベルトさんが話してくれたのは、アルベルトさんと交流がある商館で寛いでいた時に、異国人嫌いの男性がやってきて、ひとしきり喚いていた時に、私の名前を聞いて、私が蔵に閉じ込められているのを知ったんだって。 蔵の鍵は針金で開けたみたい。 アルベルトさん曰く、「僕は平多仁家の蔵にある宝物が欲しかった。盗んでまでして欲しかった宝物」だそう。 蔵にそんな高価なものなんてあったかしら? どれも二束三文のはずだけど…。 「アルベルトさんが欲しかった宝物って何ですか?」 「それは…チヨちゃん。チヨちゃんという宝物が欲しかった。初めて逢った時に、ずっと隣にいたいと思った。だから盗んでしまった」 アルベルトさんは照れたように笑って、私の頬に口付けした! 異国では普通のことなの!? だけど私の心も彼の青い瞳に盗まれてしまったのだから、一生隣にいるからね!
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