春には稲荷寿司を持って

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クズは嫌いだが、稲荷寿司に罪はないし、何より自分が作るのだから、自分好みの味にできる。 そう考えると、多少空しくても一人の方がいいのかなと思ってしまう。 何だか仕事もプライベートもどうでもよくなったから、退職を考えようと思って、二日有給を取った。 ただぼんやりしたかった。 今だけ頭を空っぽにしたかった。 「特にしたいことないな…。近くの神社に行ってみようかな。おみくじとかお守り買えるかもしれないし」 もう恋愛の神頼みはしない。 いや、もう恋愛はしなくていいから。いっそ二次元に走るかな…二次元は裏切らないもんね。 ランチボックスに作ったサンドイッチを入れて、飲み物は途中の自販機で買って、神社に着いた。 さすがに境内で食べるのは気が引けるので、境内から少し離れた場所に石段があったので、そこで食べることにした。 「たまにはこういう感じで外のお弁当もいいかも♪」 自作のサンドイッチだけど、美味しいと思える味だし、美味しいと元気が出る気がするんだ。 「いただきまー…」 「それ…ちょうだい…死にそう…」 「えっ!?サンドイッチ欲しいの?…え、と、どうぞ」 「ありがとう!いただきます!」 「あ…全部…?」 いきなりサンドイッチを欲しがった人は、全部食べてしまった。 私が手に持った分も食べられた…。
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