春には稲荷寿司を持って

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「ごちそうさまでした!美味しかった!俺、伊勢 深幸(イセ ミサキ)っていうんだ」 「私は高森 泉水(タカモリ イズミ)。ねぇ、何でそんな格好をしているの?神社の宮司さんでもしているの?」 何か平安時代の貴族の人が着ている服というか着物というか…神社の宮司さんなら、そういう格好の時もあるし。 「宮司?違うよ、俺はオサキ狐と言って妖怪の一種。でも、とっても小さな狐だから、陰陽師とか犬神とかに詳しい人に飼われているんだ。俺はオサキ狐の中でも長く修行して人間の姿を定着させることができたんだ」 何言ってるの? あれかな…中二病。 格好もコスプレかな…ネットで買えるし。 「あれ?信じてない?ちゃんと狐の耳もあるんだよ♪」 確かに彼の頭には、ピョコピョコ動く三角の耳があるけど、付け耳じゃないの? 「ほら、顔の横に耳はないでしょ?フサフサの尻尾もあるんだよ♪」 彼がもみあげの髪をかき上げると、本当に耳がなかった。 じゃあ…狐の耳は本物…? 「本当に狐なの…?」 「普通の狐じゃなくて妖狐だよ。オサキ狐って言ったでしょ」 令和に妖怪なんて有り得ないと思うけど、現にここにいるし、人のサンドイッチ食べたし…。 「そうだ、美味しいものを食べさせてくれたお礼に、何か願いを叶えてあげる。制限はないけど、願いの対価はもらうからね」
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