春には稲荷寿司を持って

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自分の席に着くと嫌でもクズが談笑しているのが目に入る。 外面だけはいいけど、中身がどうしようもない…私は何でそんな男が好きだったんだろう? 今日から服装は動きやすいパンツルック、メイクは地味で薄め、髪は軽く纏めただけで、仕事に集中モードの格好に切り替えた。 会社は仕事をする場所で遊ぶ場所じゃないもんね。 無心で仕事をしていると、クズが自分の分の仕事を私に押し付けてきた。 「あの河野(カワノ)さん、これは河野さんの分ですよね?」 「休んでいた時に、その分やってあげたんだから、これくらいやって当然だと思うけど?」 誰のせいで休んだと思ってんだか。 クズはやっぱりクズだわ。 私は私の仕事だけやろう。 終わったら、クズの分の仕事は手付かずで返そう、自分でやれ! そう思いながら、自分の仕事を片付けていると、積み上げられていたファイルが半分なくなっている。 「積み上げられた分は本人に返しておくから、自分の分の仕事だけやるといいよ。ああいう人間は薄っぺらい紙のクセに、何で偉そうなんだか。ねぇ、泉水」 その声に顔を上げると、神社で逢った深幸だった。 でも耳が人間の耳だし、何よりスーツ着てる! どうなってるの!? 驚きすぎて声も出ない…。
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