春には稲荷寿司を持って

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深幸はにっこり微笑むと、軽く周りを見渡し、あのクズをじっと見つめる。 軽く溜め息をつくと、クズの分の仕事のファイルをクズに返しに行った。 「自分の仕事は自分でやろうね。せめて仕事だけは信頼されないとね」 「部外者が何で偉そうにしているんだ?あんた誰だ?」 「伊勢 深幸。伊勢グローバルカンパニーの副社長の息子だよ。今日はウチの副社長の名代できたんだ。それと…大好きな泉水に逢いたくて…きちゃった♪」 最後の方は私の方を向いて言うから、思わず顔が熱くなってしまう。 みんなに見られるし、仕事に集中できないよ。 それよりも伊勢グローバルカンパニーって、かなり大きな企業だよ? それに副社長の息子って…深幸は狐じゃないの? 「さてと、俺は偉い人と話しをしないといけないから、仕事が終わったら、神社においでね♪」 私の側にきて、明るくそう言うと、深幸は奥の上司の部屋へと姿を消した。 質問攻めだろうなと思ったけど、私じゃなく、クズの方が質問攻めにされている。 あぁ、私以外にも関係持った人がいたんだ……男とも関係持ってたの? 下半身が本体みたいなクズだわ、こいつは。 何か奥さんとお子さんがかわいそうになってくるレベル。 巻き添えを食らうのは嫌なので、昼休憩の時に早退の旨を伝えて会社を出た。
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