春には稲荷寿司を持って

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会社を出てから、深幸に「神社においで」と言われたことを思い出し、まっすぐ神社に向かう。 でも、会社で上司の部屋に入ったし、まだ帰ってないんじゃ…。 いくら人外の存在でも、瞬間移動はできないと思う。 鳥居をくぐると、空気が変わる気がする。 いつもの空気とは違う、凛とした空気。 やっぱり神様がいるからかな? 「泉水、ずいぶん早いね。早退した?」 「何で!?何でここにいるの!?」 「だって俺の家だし」 「そうじゃなくて!会社で上司と話してたんじゃないの!?」 「狐を甘く見ないでよ。人間の世界は俺達には緩いから、何とでもなっちゃう。それより、何か変わったことなかった?」 「変わったこと…?何でか河野さんが質問攻めされてたことかなぁ?」 「それそれ。俺が会社の中で部屋をぐるっと見回したでしょ?実はアレ、人の心の本質が見える術をかけてたんだよね♪ピンポイントであの男限定にしといたけどね♪」 えげつない術…。 心の本質…私の心の本質も、あのクズと変わんないかも。 だって、私も相手の言葉を鵜呑みにしたから。 でも、私だけ悪者扱いは納得いかないけどね! 「明日、会社に行ってごらん。絶対面白いことになっているから。あの男、会社に行けるかな?行けても真っ白に燃え尽きているかもね♪」
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