鬼に盗まれた姫君

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「盗賊・血袴(チバカマ)。人は俺を鬼と呼ぶ」 盗賊…?鬼…? どんな人でもいい、ここから連れ出してくれるなら。 「お願いします、私を連れ出してください!」 「お前の望むまま、遠くに拐ってやろう」 私は盗賊・血袴と一緒に家を抜け出し、後ろを振り返ることなく彼に抱きかかえられて、彼の住む場所へ向かった。 血袴の住む場所には、彼の仲間がいて、名前は袴垂(ハカマダレ)というらしい。 私は二人から身体を求められて、今まで嫌で堪らなかったのに、二人に抱かれるのはとても幸せだった。 二人から同時に求められるし、それが私達三人が納得できることだから、それでいいと思った。 ただ二人に抱かれるということは、子供を身籠った時、どちらの子供か分からないこと。 それを二人に相談すると…。 「そんなことが気になるのか?子供は俺達三人の子供だ。確固たる地位を望むなら袴垂の子供になった方がいいだろうな。何せ藤原家の貴族だしな」 「そうだったの!?貴族なら都にいた方がいいんじゃないの?」 「俺は血袴と琴葉(コトハ)と一緒にいる方がいいんだ。俺がいないと琴葉も満足できないだろう?」 「恥ずかしいから言わないで!」 「そうだぞ。琴葉は俺一人でも満足できるもんな」 「だからやめてってば!」
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