鬼に盗まれた姫君

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二人は私をすぐからかう。 それも楽しくて笑ってしまうんだけど。 「ずっと三人でいたいね…」 「そうだな…俺達三人で夫婦だからな」 「俺達だけの認識だけど、俺達が知っていればいいんだ」 「うん…」 本当に都より不便だけど、家にいた時よりも楽しいし、着物も動きやすいものを袴垂が揃えてくれた。 料理は血袴が上手で私は感心するばかり。 たまに文のやり取りをやって、ちょっと雅な感じで遊んでみたりで、私は二人の妻になれて嬉しかった。 私がいなくなったことで、家では神隠しとか鬼に拐われたとか、ちょっとした騒ぎになっていると都に行っていた袴垂が教えてくれた。 確かに鬼に拐われたけど、私を幸せにしてくれる鬼なんだから、私のことは死んだ者として忘れてほしい。 何度か季節が巡り、私達三人の間には子供が三人生まれて、家族が増えて賑やかになった。 血袴と袴垂の提案で、私達は住んでいる山から別の山に引っ越すことにした。 最近、大江山の話が都で上がっているので、袴垂が早めの引っ越しを血袴に勧めたらしい。 袴垂は一旦都に帰り、私達は誰も知らない山へと移り、血袴と一緒に袴垂を待った。 もしかしたら袴垂はこないかもしれないけど、言葉にすると、本当になりそうだから、私も血袴も袴垂のことは話題にしないようにした。
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