できそこないの巫女は桜に舞う

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「特には…いえ、この蛇の鱗のような肌を普通の人のようにできますか?」 無理だと分かってはいるけど、私を悩ませているのは、この肌のことだけだ。 「造作もない。しかし、まだ脱皮には少し早い。三日後の満月の夜にここにくるといい。脱皮して美しい肌の人間になるだろう」 「脱皮…私は爬虫類ではありませんが…」 「神の加護が強すぎる者は、様々な形で脱皮する。お前もその一人。名は何という?」 「儚です。あのあなたは…」 「我は大物主(オオモノヌシ)。儚、三日後の夜を楽しみにしている」 一際強い風が吹いて、気付くと私は一人でその場に座り込んでいた。 三日後、私はひどく体調を崩してしまい、床の間を離れられず、食事どころか水を飲むのも一苦労だった。 じっと寝ていたいのに、こういう時に限って閑がやってくる。 聞きたくもない用件付きで。 「儚ちゃん、今度の豊作豊水祈願は私達二人が舞を披露するんですって。私は麒麟様からもらった打掛を着て踊ろうと思うの。儚ちゃんはどうするの?」 それは今度でいいじゃない。 私は横になっていたいのに…。 適当に答えて、早くいなくなってもらおう。 「私はいつもの巫女装束で踊るわ。打掛とか持ってないから…」 「儚ちゃんって、綺麗な舞扇持っているよね?あれ貸してちょうだい。私の打掛と色も合うし」
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