できそこないの巫女は桜に舞う

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立つことも難しいくらい痛くて、両手で身体を抱きしめて蹲る。 その時すぐに誰かに抱きしめられていた。 きっと大物主様だ…安心する…。 「怖がるな…脱皮が始まったのだ。我が終わるまで、お前の姿を隠しておるから、ゆっくり古い皮を脱げばよい。焦る必要はない」 「はい…」 でも脱皮なのに、更に身体に鱗が増えたような…。 鱗が魚の鱗みたいになって、鱗が立っている…怖い…! 「大丈夫だ。一時的に鱗が増えて変化するのは防御反応だ。だんだん鱗が落ちてきたぞ」 身体中にあった鱗がどんどん落ちていく。 痛みも痒みもないし鱗の痕もない。 そろそろと顔を触ってみると、いつもあった蛇のような肌じゃない…! バラバラと何かがたくさん落ちる音がして、辺りを見回すと鱗が床にたくさん落ちている。 「この鱗って…」 「無事に脱皮が終わったな。着物も鱗まみれで着れないだろう。お前の為の打掛を持ってきた。それを纏って我の側にいるといい」 「大物主様の側に…?私でいいのですか?」 「儚は我の巫女だ。共に生きることができる。もちろん人の世で生きる道も選ぶこともできるが?」 「私は巫女です、大物主様の側にいます。これからはお側にいて、祈りを捧げます」 「祈りだけでなく、色々尽くしてもらうぞ」
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