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「もうイクだけの身体じゃないからね。たくさん気を付けるに越したことはないよ」
「本当にユキは小さい頃から変わらないわね」
「愛する妻を大切にすることを情けない男とは思わない。それにイクは繊細なんだから、余計に大切にしないと。お腹の子供はどう?」
「元気に動いているから、きっとユキに似た男の子だわ」
「オレに似たお転婆な女の子かもしれないよ?」
二人で笑い合う。
ユキの手を取った日から、私の日々は目まぐるしく変わり、山遠理家の皆さんに歓迎してもらえた。
無口で骨董品の壷が大好きなるお義父様は、妊娠中の私の身体を気遣ってくれる。
お話し好きで、洋食大好きなお義母様は、私をお茶に誘って、ハットケエキというお菓子を食べさせてくれた。
甘くて美味しい。
異国ではパンケーキやホットケーキという名前らしい。
ユキはいつも仕事が忙しいみたいだけど、仕事内容は守秘義務があるから、よく分からない。
お義父様とお義母様は「何も心配いらない」と言ってくれるけど、気にしすぎかしら?
ユキが珠依家の書生としてきていたのは、内偵捜査の為に名前以外は全て偽っていたけど、私のことだけは気がかりだったんだって。
そこだけは絶対に嘘じゃないって言ってた。
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