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プロローグ
「さあ、洋子さん。お好きな時をお選びなさい」
闇の中から聞こえる声に翻弄されながら、私はいつの間にか手にしていたガラス板に浮かんで光るテンキー触れた。そして、年月日をセットした。
「これで、やり直せるのね」
「やはり。あなたはあの時を選んだ。榊一郎に告白されたあの時を。さあ、あとは右下に浮かぶ赤いボタンを押すだけです。そうすればあなたは、あの時から人生をやり直すことが出来る」
私は赤く光るボタンに人差し指を近づけていった。
「これで、みんな幸せに・・・」
「もう大夢君が不治の病で苦しむことはなくなります。あなたは榊一郎と結婚して、二人の間には元気な子供が生まれる。榊一郎は後に日本一の社長となり富豪となる。今のご主人、佐藤和男は、莫大な資産のある令嬢と結婚して何不自由なく暮らす。みんな幸せだ」
闇の中から聞こえる声の主はわからない。けど、不安は感じない。むしろとても信頼できた。
「さあボタンを・・・」
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