いきている、いきている。

4/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 きなこが帰ってきたら、可愛がっていた京弥も喜ぶはず。本当に、本当にそう思っていたのだ、それは間違いない。だから。 「きなこは生きてるんだぜ」  さらりと口にした。  こんなもの、すぐバレる嘘でしかない。あるいは“お前の心の中でずっと生きてるんだよ”という励ましでも聞こえるような言い方を選んだつもりだった。  だから。 「……きなこが?」  驚いたのである。京弥の顔が一瞬にして、能面のような無表情に変わったことに。  それは、怒っている顔でも、悲しんでいる顔でも、喜んでいる顔でもなかった。まるであらゆるスイッチを切ってしまったかのように、突然すべての表情が彼の顔から抜け落ちたのである。そして。 「生きてる?きなこが生きてる?」 「きょ、京弥?」 「きなこがいきている、きなこはいきている、きなこがいきている、きなこがいきている、いきている、いきている、いきている、いきている、いきている、いきている、いきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきているいきている……」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!