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31.舞坂(今切真景)
高台から見下ろした穏やかな湾内の景色、帆掛け船は水平線に、半島の遠くに美しい白富士が姿を見せています。
舞坂宿は現在の静岡県浜松市舞阪にあり、本陣2軒、脇本陣1軒、旅籠28軒、対岸の荒井との間を結ぶ渡し舟の発着場のあった宿場町でした。
東海道を行く旅人は、この舞坂から荒井までは舟渡しとなります。
※1舞坂宿
※2荒井宿
1498年に起きた未曾有の大地震、世に言う”明応の大地震”で、舞坂(現舞阪)荒井(現新居)間の砂州が決壊、浜名湖と遠州灘が繋がってしまいました。
陸路は断たれてしまいましたが、淡水と海水が混じり合う日本最大の汽水湖となり、豊かな漁場にもなっています。
副題は『今切真景』(いまぎれしんけい)、大地震の時に砂州が切れるのを見た人々が「今切れた」と言ったので”今切”(いまぎれ)と呼ばれるようになったとか。
天ぼかしは見当たりませんが、海と空の境上下にそれぞれぼかしが見られます。海の濃紺からのぼかし、広重ブルーが鮮やかです。空に向かっては、日の出を迎え温かみのある朱色が空を染め出しました。穏やかな朝の風景です。
【真景とは?】【リズム】【何が捕れてるの?】を見ていこうと思います。
※1.2は遠近道印//作,菱河吉兵衛<菱川師宣> //画『東海道分間絵図』第3帖,板木屋七郎兵衛,元禄3(1690)序刊. 国立国会図書館デジタルコレクションを加工して使用しています。
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