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朝の光って、みんな気持ちが良いって言うよね。
だけど、私は嫌い。
これからまた一日が始まるのかと思うと、少し憂鬱な気分になるんだもん。
でもね、彼が来てくれた日だけは違うの。
「ほんと、奏くんが迎えに来てくれた時だけはすっと起きるのねぇ」
「ちょ、ちょっと! お母さん、余計な事言わないで!」
「ふふ」
もう、何も奏の前で言う事ないのに。
桐川奏。
私の幼稚園からの幼馴染み。
勉強もスポーツも何でも出来て、女子から凄い人気がある。
そして、私の初恋の人。
もちろん、今も密かに奏に想いを寄せている。
多分奏は私の気持ちなんて、全然気付いてないんだろうけど。
「何? なんか付いてる?」
「へ!? い、いや、ううん!」
「ふっ。変な奴。早く食えよ、遅れるだろ」
「そ、そうだね!」
いけない、いけない。
朝から奏に会えるのが嬉しすぎて、思わずじっと顔を見ちゃったよ。
これじゃあ、いつ私の気持ちがバレるか分からない。
お母さんがニヤニヤしながら物陰からこっちを見ていたけど、知らないフリをしておこう。
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