発症

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教室に私達3人が着いたと同時に予鈴のチャイムが鳴った。 良かった、何とか間に合ったみたい。 遅刻したら原稿用紙3枚分の反省文を書かされちゃうから、間に合ってほっとしたよ。 「お前ら、座れよー」 担任の伊賀崎先生が入って来て、私も含めてみんなが慌てて自分の席に着く。 30歳前後で、サッカー部の顧問をしている伊賀崎先生は明るく陽気な性格で生徒達から凄く親しまれている。 私も、伊賀崎先生の事は大好きだ。 だけど……奏はそうでもないみたい。 「お、桐川。何だ、間に合ったのか。遅刻していたら反省文書かせてやろうと思ったのに」 「ご期待に添えずすいませんね」 サッカー部に入っている奏は、伊賀崎先生にこうやってよくからかわれている。 多分、伊賀崎先生なりの愛情表現だと思う。サッカー部のエースで入部してからのこの半年間奏のおかげで勝てた試合もたくさんあるから。 でも、奏はからかってくる伊賀崎先生をあまりよく思ってないみたい。 私はそんな2人を見ているのが、内心楽しかったりするんだけどね。
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