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「理由があるならちゃんと話せよ! 俺達、今まで何でも話してきたじゃねぇかよ。それとも、俺達は簡単に終われるようなそんな薄い関係なのかよ」
「……そうだよ」
今までに聞いた事がない、低い声だった。
少し目に涙を溜めて、美桜はゆっくりと俺を見上げた。
「私と奏はただの幼馴染みだよ? 小さい頃からずっと一緒にいたからって何でも言い合えるなんて、思い上がらないでよ。誰だって言いたくないことくらいあるでしょ? 文化祭の時に言った事だって、文化祭の雰囲気に流されて勢いで言っただけで、本心でも何でもないんだから。だから……だからもう私に関わらないでよ。迷惑なの」
”良いから話して”と、俺の手を振り払い、美桜は家に入って行った。
何で……何でそんな嘘つくんだよ。
明らかに声も腕も震えてんだよ。
泣いてんだよ。
そんな嘘ついてまで、何で俺から離れようとすんだよ。
「美桜!」
そう叫んでも、扉の向こうにいる美桜は出てこなかった。
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